2024/03/01

ことばの贈り物 アーカイブス 14

2019年入学式式辞の2日目である。

そんな多くの人たちが、広場に立ちはだかる扉に書かれた文字を読みながら、一人、また一人と鍵の掛かった扉に向かって、さっき言った胸ポケットに入っているオリジナルの鍵を持ち出し、扉を開けて中に入ろうとするのです。その作業が、18ページの真ん中辺りから終わりに掛けて約半年間「扉の広場」で、ずっと繰り広げられます。

では少し、扉を開ける人に近づいて、もう少し詳しくその様子を観察してみましょう。みんな無言のまま、自分がここだ!と思う扉の前に立ち、それぞれの胸のポケットに入っている鍵を静かに取り出し、鍵穴にその鍵を差し込み、右に回そうとします。カチッと音がして鍵が回れば、笑顔を浮かべ、中にひとりだけ入ることが許されるようです。

鍵が開かなければ、少し複雑な表情を浮かべ、また別の扉の前に立って、扉に書かれた文字を読んで、鍵を開ける試みをします。ひとり、またひとりと扉の中に入っていく仲間の姿が見えます。ようやく自分の探していた扉の前に立ったキミは、緊張しながらも、鍵穴にそっと鍵を差し込み、鍵を回します。果たして、鍵はカチッという音を立てて、回るのか、それとも回らないのか。「扉の広場」の御伽噺はここまでにしておきましょう。

キミのその上着の胸ポケットに入っている鍵を無くさないで下さい。大事に3年間しっかり持っていてください。その鍵は、どこのコンビニにも置いていない。泉ヶ丘駅前の高島屋にも、あべのハルカスにも置いていない。通販で手にすることも、ネット予約することも出来ない、キミのためだけに作られた特別な鍵なのです。キミがどんな扉の前に立つのか。キミがどんな鍵でその扉を開けるのか。そのために必要なことは何か?

キミにふさわしい、キミだけの 夢の扉の前に立とう。
キミにふさわしい、キミだけの 夢の扉の鍵を手にしよう。
そして、
キミだけの夢の扉の前に、キミ自身の足で進み、
キミ自身の手で開けて、キミだけの次の世界に旅立とう。
ボクたちは、そんなキミたちの傍にいて、
キミだけの扉探し、キミだけの旅立ちのお手伝いをする。

人生ノート、18ページがほんの少しは見えてきたかな?
さあ、もう一度、人生ノート16ページに戻ろう。キミたちの16ページの書き出しは「上着の胸ポケットの鍵を無くすな!」という文字から始まる。そして、「自分の扉を自分で探せ!」という文字が続く。

どうか3年間しっかり前を向いて、濃密な時間を過ごしてほしい。キミの人生ノート16ページから18ページまでの3ページが、これまでにないくらい、鉛筆で真っ黒に埋め尽くされるような生き方をしてほしい。これから出会うであろう多くの仲間と共に、この帝塚山学院泉ヶ丘高等学校でしっかり学んでほしい。そのために僕たち教職員は、全身全霊をかけて、キミたちをバックアップすることを誓う。

最後になりましたが、本日ご臨席賜りましたご来賓の皆様。お忙しい中、お祝いにお越し下さりまして、誠にありがとうございました。

また、本日入学式にご参列下さいました保護者の皆様。本日は誠におめでとうございます。これから3年間の短い間ですが、本校教職員一同、一丸となって生徒の成長に寄与出来るように努力いたします。高いところからではございますが、どうかこれからも、温かいご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は誠におめでとうございました。(2019・04・08)