2024/02/29

ことばの贈り物 アーカイブス 13

2019年の高校入学式式辞である。

桜の花も美しく咲き誇り、春満開というこのめでたき日に、ご入学を果たされた新入生の皆さん。ただいまの入学許可宣言を持ちまして、高等学校1年生288名の入学を許可いたしました。改めまして、ご入学、まことにおめでとうございます。さて、15歳の皆さんには今、これからの将来の道がどのように見えますか? 今座っているその場所から、どんな風景が見えますか?

皆さんにとって、この先どんなドラマが待っているのか、どんな未来があるのか? それを想像することはなかなか難しいことかもしれません。まだ「人生ノート」16ページは今日始まったばかり。これからそこに、どんな文字を書き記していくのでしょうか。

では、皆さんの「人生ノート」15ページを開いてみましょう。その最後の行には、皆さんが卒業された中学校の名前と卒業という文字がはっきりと刻まれていますよね。そこから、本日新しい16ページがスタートするわけです。書き出しはもちろん、帝塚山学院泉ヶ丘高等学校入学という文字が、たった今刻まれました。

さて、皆さんの「人生ノート」をさらに3ページほどめくって、19ページを開けてください。もちろんまだ真っ白なページです。その「人生ノート」19ページの最初にどんな具体的な文字が刻まれているのでしょうか。

では、その19ページの最初の文字を刻むまでのことを少しお話ししましょう。ノートは18ページに戻って下さい。その18ページの真ん中くらいに、「扉の広場」って書いてありますよね。見つけられましたか?「扉の広場」という項目です。「扉の広場」って一体なんだろうって思う人がいるでしょう。「扉の広場」について少し説明します。

実は今、皆さんのその真新しい制服の上着の胸ポケットには、鍵がひとつ入っています。その鍵は、あなただけのオリジナルキーで、二つとして同じものはありません。その鍵を使うのはたった一度。皆さんが高校3年生になった時。先ほど申しました「扉の広場」で必要となります。その「扉の広場」というのは、目の前に巨大な扉が無数に立ち塞がっている広場のことです。少し想像を膨らませて下さい。想像できますか?自分が進もうとする進路に立ち塞がる、無数の扉の城壁に囲まれた広場です。

実は、皆さんは全員、高校3年生の中盤以降、その「扉の広場」に集合することになっています。この広場には、全国から一斉に18歳の若者たちが集まってきますから、その数はおびただしいもの。何十万人という高校3年生が一挙に、その「扉の広場」に集まってきます。そこにはもちろん、同じ学校の仲間もいるし、中学時代の懐かしい友達の姿も見える。でも、ほとんどは、知らない人で埋め尽くされている。北海道からも沖縄からも、みんなそこに集まってきます。

本日はここまで。続きはまた明日。(2019・04・05)