2023/10/12

昨日の少年の後日談です

昨日、蛾を捕獲して持ち帰った少年。次の日の朝、登校途中の彼と会話を交わした。お付き合い願いたい。

「〇〇君、おはよう!」と、少年を見つけるやすぐに声掛け。少年も心得たもので、私の方へ近づいてくれる。
「おはようございます。校長先生。」
「ところでさ、昨日の例の蛾はその後どうなった?元気?」と、校長。
「それがあ、あの後うちに帰って、大きなところへ放してやったんです」
大きなところというんで、よほど昆虫が好きなんだろうと想像した。
「すると、あれだけ大人しかった△△が、勢いよく飛び回りまして……」
「ふ~ん、それは良かったじゃない。」と校長。

「いえ、元気が良すぎて、完璧だった羽根が、傷ついて、少し傷んでしまったんです。あれだけの大きさの△△だったのに……」と落胆を隠せない〇〇君。
「そうかあ、それは残念だったね。今回の様子は『ことばの贈り物』でみんなにお伝えするからね。もちろん個人名は出さないよ。ところで、なんて言う蛾だったっけ?」
その校長に、少しうんざりした様子で
「△△です!」と教えてくれたが、また忘れた。

「でも、校長先生、蛾なんて興味ある人、この学校にいるんですかねえ?」
「いや、きっといるとも。いなくてもキミのようなユニークな少年がいることが、私は誇りだね、ファーブルジュニア!」
彼は、嬉しそうに昇降口から教室の方へ消えて行った。