2023/10/11

ホッとするお話し

中間テスト2日目である。昨日テスト終了後、ある中学生が昇降口付近の壁を見つめながら立ち尽くしている。よく知っている生徒なので、声をかけた。

「〇〇君、何してるの?」
「あの~、校長先生見て下さい。△△がここに止まっているんです。」
(※△△とは、蛾の正式名称なのだが、何度聞いても私は覚えられないので、悪しからず)
「ホントや、珍しそうな蛾やねえ」と、蛾の様子を確認する校長。
「そうなんです、実は、登校した時から今まで、ずっとここに止まってるんです」とのこと。同じ場所に5時間近く居ることになる。
「家の近所にもいるんですが、こんなに大きなのは初めてなんです。……虫かごがあれば、持って帰りたいんだけどなあ……」
こう言った一言を聞き逃す校長ではない!

「よっしゃ、〇〇君、少し待っときヤ、今、虫籠探してくるから!」
「そんなの、学校に、あるんですか?」という心配をよそに。
さ~て、ここからがたいへん。職員室に行って
「どなたか、虫籠をご存知の先生方は、いらっしゃいませんか?」という号令一下、何人かの先生方が、作業中の手を止めて、動き出して下さる。いやあ、申し訳ない……。

職員室にそんなのあるわけもなく、理科の先生が、理科室に調べに行って下さる。その間、虫籠が必要な理由を確認すべく、蛾のいる場所に何人かの先生をご案内。珍しい蛾に興味津々。

当事者の生徒は、多くの先生方が来られる中、緊張のあまり「すみません」を連発。
「何もキミが謝る必要はない!校長先生が勝手に動いたんだからね!」と、告げる。
尽きることのない興味を持って、蛾の様子を眺め入る生徒。何とかしてあげたい!

やがて、理科の先生が虫籠ではないが、蓋つきのガラス瓶を持って来てくださる。それで、慎重に壁から蛾をはがし、傷つけることなく、無事保護が完了。生徒の満面の笑みに、我々教員も救われた気がした。

そんなテストの合間のホッとする出来事。学校は生きているなあ~。