2021/07/05

ことばの贈り物 2021/07/05

先週土曜日の昼下がり。期末テストを終えた生徒の下校集団をやり過ごして、2時過ぎに学校をあとにした。バス停にはそれでもまだ5・6名の生徒がバス待ちをしている。バスに乗り込んで駅に向かう。駅前バス停から電車に乗り継ごうとすると、横から女子生徒の声。
 
「校長先生、今お帰りですか?」確か同じバスに乗り合わせた生徒のひとり。こうして声を掛けてくれる機会は珍しい。
「はい、そうですよ。今から帰ります。あなたも今から帰るのですね。少し残っていたのかな?」
「はい、先生に質問していました」駅に向かいながら会話する。
 
「中学1年生かな?担任の先生は?クラブには入っているの?」と矢継ぎ早の校長の質問。それに臆することなく、はっきりと応えてくれる女子生徒。そのまっすぐな瞳に品格と知性がきらめく。
 
何より「本校の生活が、予想をはるかに超える楽しさだ」と言ってくれたことが嬉しい。そのままプラットフォームで電車を待つ間も話した。今読んでいる「14歳からの社会学」(ちくま文庫)という本を彼女に見せた。
 
「これ、とっても面白いよ」と表紙を見せて紹介しようとすると、
「いえ、校長先生のお話の方がもっと面白いと思います。毎回楽しみにしています。」
そう言って、私の話はさえぎられた。
 
「とほほほほ‥‥」大変恐縮である。宮台真司氏という私と全くの同じ年齢の社会学者。吸ってきた空気が同じだけに、共感部分も多い。もっともっと私も勉強して、生徒たちに明るい未来が伝えられる人生の先輩でありたい。
 
彼女と別れ、電車にひとり揺られながら、改めて「14歳からの社会学」を読み進めている自分がいた。