2022/04/09

高等学校入学式の式辞をお送りします 4

式辞の4日目のご紹介である。お付き合い願いたい。
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では少し、扉を開ける人に近づいて、もう少し詳しくその様子を観察してみましょう。みんな無言のまま、自分がここだ!と思う扉の前に立ち、それぞれの上着の右ポケットに入っている鍵を静かに取り出し、鍵穴にその鍵を差し込み、右に回そうとします。

カチッと音がして鍵が回れば、ほっと笑顔を浮かべ、中にひとりだけ入ることが許されているようです。鍵が開かなければ、少し複雑な表情を浮かべ、また別の扉の前に立って、扉に書かれた文字を読んで、鍵を開ける試みをします。

ひとり、またひとりと扉の中に入っていく仲間の姿が見えます。ようやく自分の探していた扉の前に立ったキミは、緊張しながらも、鍵穴にそっと鍵を差し込み、鍵を回します。果たして、鍵はカチッという音を立てて、回るのか、それとも回らないのか。

さあ、「未来の扉」での御伽噺はここまでにしておきましょう。

キミのその上着の右ポケットに入っている鍵を無くさないで下さい。大事に3年間しっかり持っていて下さい。その鍵は、駅前のコンビニには置いていません。高島屋にもイオンモールにも置いていません。アマゾンでも楽天でも購入できません。キミのためだけに作られた特注の鍵なのです。キミはどんな扉の前に立つのですか。キミはどんな鍵でその扉を開けるのですか。鍵を開けるために必要なことは何ですか?

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本日はここまで。続きはまた明日。