2022/04/14

中学校入学式の式辞をお送りします 4

中学入学式の式辞ご紹介の4日目である。お付き合い願いたい。
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先生の考え方を、少しお話しします。知識や技術の習熟度を測る物差しとして「偏差値」は、とても便利な道具です。一生懸命勉強したひとつの証拠となります。だからといってそれが、その人の全てを測る物差しなのでしょうか?

たとえば、100メートルの走る速さを測定する時は、ストップウォッチを使います。体重を量るときは、体重計を使います。間違っても100メートル走を、体重計を持ってきて測定する人なんかいないでしょう。100メートルの記録は、15秒2でしたというのは、分かりますが、45キログラムでしたとは言わないでしょう。

反対に体重を量る物差しに、ストップウォッチは使わないですよね。つまり、物事を測る道具は、ストップウォッチもあれば、体重計もあるし、スピードガンもあれば、巻尺もあります。みんなそれぞれ用途が違い、その場その場で適切な物差しを使います。「偏差値」も学力を測るひとつの物差しですが、それで人間全体を測ることは出来ません。

人の心根や善意、これらを少し難しい言葉で言いますと、その人の「人間性」とか「人格」と言いますが、こういった「人間性」や「人格」といった、その人の「心」の育ち具合を測る物差しは「偏差値」ではありません。繰り返しになりますが、偏差値が測定できるのは、あくまでも「学力」という限られた領域です。偏差値が高いからその人が、人間的に素晴らしいとは言えないし、素晴らしくないとも言えない。測る道具がまるで違うのです。

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本日はここまで。続きはまた明日。