2023/03/02

映画「生きる 大川小学校 津波裁判を闘った人たち」を観ました

昨日に続き、映画の感想をお届けしたい。お付き合い願いたい。
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真相解明を求めて、何度も行政と話し合ったが、納得できる結論を見ない中、行政側への不信感が募る。遺族間の意見も割れる。そんな中で、やはり真相究明は、法廷の力を借りなければ不可能であるという結論に23人の保護者は至る。

この訴訟を引き受けてくれる弁護士もなかなか見つからない。そんな中、たった二人の弁護士が、真相究明に向けて声を上げてくれた。裁判の先行きに、全く見通しが立たないという弁護士の率直な意見。地域でも行政を提訴するということへの非難。四面楚歌の中に、19家族はポツンと取り残される。

最高裁判決まで進み、最終的には勝訴という形で裁判は結審。お金目当ての提訴、子どもの命をお金で解決するのか!といった誹謗中傷がSNSで飛び交う。脅迫まがいに晒されることもある。しかし、真相を知りたいという一心で、23人は団結した。

映画の内容は、当日の津波対応の瑕疵をクローズアップすることは意図的に避けているようであった。それよりも、真相究明したいという原告の想いを受け流そうとする、行政側の無責任な態度が、強く描かれていたように思う。

裁判所の判断も、当日の津波対応に関する言及ではなく、ここまで避難訓練等がなされていなかったという学校側の落ち度を根拠としていた。この辺りに裁判の難しさがあるように感じた。

最高裁判決で補償金額が示され結審したところで、この映画も終盤を迎える。しかし、「勝訴」が目的ではない。原告側の求めた51分間の真相究明は、結局実現出来ないまま。ただ、裁判長は、提訴に踏み切らざるを得なかった原告の想いを、充分汲み取っているように感じた。

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本日はここまで。