2021/11/09

「授業見学週間」と「授業参観日」

昨日に引き続き「授業参観」であった。2時間目と3時間目、空模様の怪しい中、多くの保護者の皆様にお越し願い、感謝申し上げる。一方では「授業見学週間」でもあり、多くの先生方の授業にも参加している。なかなか保護者の皆様にご挨拶もできずに過ごしてしまった。申し訳なく思う。

さて、「授業見学週間」で本日は、グループ発表をしている高校2年生のあるクラスにお邪魔した。後方に席がなく、最前列で生徒の一人として参加した。ワクワクしながら、生徒たちの発表を聞いていた。とてもしっかりした発表には、アッパレ!である。

素材が「こころ」(夏目漱石)ということもあり、自分の40年以上も昔のことを懐かしく思い出しながら、受講していた。あの頃「こころ」は読み進める中で、体の震えが止まらなかった。とにかく先を読むのが、恐ろしかった。そんな記憶が残っている。

「こころ」の全文を読み切ったとき、どこかしら高校生が知ってはいけない禁断の果実をかじったような罪悪感を抱いた。「先生」がどうして「明治の精神に殉死」しなければならなかったのかという謎。自分の中では、未だにはっきりと確証をもって語ることは出来ない。

でも、「先生」は死ななければならなかったという物語の結末に、近代社会の必然である「我執」という精神構造に、古来より息づく日本人の精神性が塗り替えられてしまった宿命を感じる。経済合理性がはびこる現代社会において、あの頃息づいていた日本人の精神性は、未だに「我執」の餌食から抜け出せてはいないような気がしている。