2021/10/10

読書の秋ですが……

お休みのひと時、いかがお過ごしだろうか。高校3年生にとっては「大学入学共通テスト」まで100日を切った。いよいよ正念場を迎えるが、焦りは禁物。受験生はおそらく睡眠不足の中で、不安な日々過ごしていることだろう。せっかくのチャレンジチャンス。前向きに悔いを残さず過ごしてほしい。

さて、読書の秋と言われて久しい時節柄、皆さんはいかがであろうか。本校の教員の中にもかなりの読書量の先生が多数おられる。その点、私などはまだまだ、読書を語るのは憚れるが、趣味としての読書は、この上もなく楽しいと感じる一人である。
 
さて、「読書」とは似て非なるものとして、受験問題に登場する「小説」がある。たくさん本を読んでいるから、国語が得意、国語の読解力が優秀とは、なかなかなりづらい。そこには、「読書」と「受験国語(小説)」に乖離があるからだと思う。
 
受験問題に登場する小説の多くは、概ね「二項対立」からスタートする。それが、ある「出来事(事件)」を通じて、「相互融和」に至る。その相互融和に至る登場人物の「変化」「気づき」が、受験問題で扱われる小説の基本形だと考える。
 
したがって、受験国語では趣味の「読書」のような、宇宙の果てまで広がっていく豊かで楽しい解釈をしてはいけない。誤解を恐れず言えば、受験国語の小説では感じてはいけない。私が学生時代、国語の成績が伸びなかった一因はここにあった。忠実に「二項対立」と「相互融和」の構造とその原因を読み解く理性的な読解が要求される。
 
もう少し具体的に話そう。Aという登場人物に属するaという「こだわり」。Bという人物が持つbという「こだわり」。そのaとbの対立構造から何らかの「事件(出来事)」が発生し、その結果Aの抱えていたaという「こだわり」が消え、Aがbに変化する。Aのbへの変化が顕在化して話は終わる。変化に至る原因が、本文中のどの描写から読み取れるのか。ここには行間を読み解く感性も必要となる。
 
そのような構造をつかみとることさえできれば、「小説」は決して難しい長文ではないと思うが、いかがだろうか。本日は、いつもと趣を変えてお送りしたが、お休みのひと時、自らの学生時代の「国語」を思い起こしてみられてはいかがだろうか。