2021/09/26

幕末の志士の生き方を学びながら

お休みのひと時をいかがお過ごしだろうか。ご先祖供養も一段落。いよいよ秋本番を迎える。生徒たちはちょうど1年の真ん中に差し掛かる。特に新入生にとって、4月の新たな環境での生活に戸惑いを感じながら、半年を経て、ここまでに至っている。
 
放課後、生徒の見送りに立つことが多いのだが、打ち解けた友だち関係の微笑ましい姿を随所に目にする。本校に入学していなければ、決して築かれることのなかった人間関係が、偶然の流れの中で成立している。
 
そんな生徒たちを眺めながら、「人は環境を選ぶことは出来ない」という道理を改めて感じている。たまたま、本校に入学してきた生徒たちが、いつしか生き生きとした人間関係を築き上げ、現実を闊歩している。
 
我々は誰しも、こうした不条理性の中でしか生きていけない。そうであるならば、その「たまたま」与えられた環境を、いかに生きるべきかというところに、その人の価値観、人生観が存在するのではないか。
 
少しでも自分を有利な立場に置くために、巧みな駆け引きを繰り広げたり、手を抜いたり、関わりを避けたり、ズルしたり……。人生において、そういった小手先の処世術もあるかもしれない。我々が気を付けなければならないことは、物事に対する考え方、捉え方の積み重ねが、その人の価値観を形成し、生き方に連動し、運命にまで派生するということ。
 
自らの生きる姿勢を糺す、見直す。「これでいいのか……」。先人の教えを請うために読書をしたり、話を聴いたり。その人の根本にある考え方こそが、その人の運命、人生を決定づけるのだとしたら、「いかに生きるべきか」。生きている限り、我々ひとりひとりに、その問いは発せられ続けているように思うが、いかがだろうか。