2021/06/12

ことばの贈り物 2021/06/12

週末を迎える。曇り空で、天気はこれから下り坂らしい。土曜日の朝の送迎は、自家用車での送迎が際立って多い。本校では、公共交通機関での通学が原則なのだが、この現在のコロナ禍では、自家用車での送迎も認められている。
 
土曜日は圧倒的にお父様の送迎が目立つ。これも週末の父親の大事な仕事なのだろうか。父の日を目前に、父親と年頃の若者が、車の中での数十分、どんな話をしているのだろうか。そんなことに思いを巡らせながら、生徒たちを迎え入れていた。
 
「いよいよ明日は、父の日ですねえ。先生のところの娘さんからは、何かプレゼントがありますか?」と、身近の先生に声を掛ける。
「???」
「まあ、期待しても仕方ないですよねえ」と、相手の希薄な反応を埋めるためのつなぎ言葉。
「えっ? 父の日は明日でしたっけ?確かその次の週ではなかったですか?第3日曜だと思いますが……。」と突っ込まれる校長。
「最近は、父の日のプレゼント広告が、やたらと入っていますから、ちょっと錯覚しますよねえ」と、丁寧にフォローまでされる始末。
「トホホホホ……」
 
土曜日の送迎に父親が多いということと「父の日」が迫っているということを勝手に関連付けて、車内での親子の会話に思いを馳せた校長。そうか、父の日は来週だったのか……。
 
もしかしたら明日、我が子から声がかかるかもしれないという「さもしさ」を抱いた自分に、行き場のない淋しさを感じていた。