2020/05/20

ことばの贈り物 2020/05/20

分散登校も順調に進んでいる。5月いっぱいの2週間のフェーズの第1週目も半ばを迎える。6月からは、外界状況を勘案した上でのことにはなるが、新たなバージョンでの指導も予定している。登校する生徒のほとんどが、学校で過ごせることを前向きにとらえているように感じる。

そんな生徒たちを眺めながら、以前民間企業に勤めていたころのことが、ふと頭をよぎった。学校の成績が優秀なことと世の中に出て仕事が出来るという部分が一致しないな。その食い違いは、誤差の範囲なのかな、それとも誤差以上の範囲なのかな。一体どこから来るのだろう。

わが国で学歴が重視される風潮は、今も健在である。しかし、特殊な世界を除き、通行手形のような威力は随分失われている。企業の人事部の採用判断が、その組織の盛衰のカギを握っている。では、彼らはその人のどこを見て、採用を決めているのか?

一言でいえば「育ち」「品格」「素直さ」といった、これまでのその人の経験に根付く部分が大きいように思う。人はひとりでは生きていけない。常にだれかに導かれながら人生を歩む。過去においても、未来においても、導いてくれる人との出会いこそが、人生のすべてであると言っても過言ではない。

社会で活躍できる人材を育成するために、学校教育はどうあるべきか?世の中で必要とされる「知識や技術」「論理性や表現力」「協調性や集団性」「忍耐力や継続性」……。受験勉強というしんどい部分を踏ん張れた実績は大きい。だけど、周囲の大人たちの生き方や考え方に左右される部分も果てしなく大きい。学校教育の担う人材育成には、無限の可能性が秘められている。